株式投資型クラウドファンディング
最近テレビCMでも見かける株式投資型クラウドファンディングのFUNDINNO
ご存知でしょうか。
どういう会社か?というと資金調達をしたいベンチャー企業とそれを応援したい個人投資家のマッチングプラットホームを運営しています。イークラウドやUnicornなども同じです。私もこれらの会社を通じていくつかのベンチャー企業に投資しています。投資といっても1口10万円前後で投資できるので大したことないですが、いわゆるエンジェル投資ってやつですか。
個人投資家は、ベンチャー企業への投資を通じで会社の成長を見守りながら、新規株式公開(IPO)やバイアウト(M&Aなどで第三者へ売却)することで大きなリターンを得ることができますが、反対にベンチャー企業は財務基盤が脆弱であったり、必ずしも事業が成功するわけではないことから投資金額を回収することができない恐れもあります。
私がなぜ投資したかというと、将来的に大きなリターンが期待できるのはもちろんですが、エンジェル税制の適用があるからです。
なお、直接ベンチャー企業に投資することによってもエンジェル税制を受けることができますが、ここでは認定少額電子募集取扱業者を通じて投資することを前提として説明します。
エンジェル税制とは?
ベンチャー企業への投資促進を目的としてベンチャー企業に投資をした個人投資家に対しての税制優遇措置です。個人投資家は投資時点と株式売却時点のそれぞれで税制優遇措置が受けることができます。なお法人での投資はエンジェル税制の対象とはなりません。
投資時点で受けられる税制優遇措置
優遇措置A(設立5年未満の企業が対象) と 優遇措置B(設立10年未満の企業が対象) あります。
優遇措置Aは所得控除
(対象企業への投資額-2,000円)をその年の総所得金額から控除(※1)
(※1)控除対象となる投資額の上限は、総所得金額×40%と800万円のいずれか低い方
優遇措置Bは譲渡益から控除
対象企業への投資額全額がその年の株式譲渡益から控除(※2)
(※2)控除対象となる投資額の上限なし
ポイント!
- 投資時点での優遇措置A・Bは所得税のみに認められる制度です。
- 売却時点での優遇措置は損失の繰越しについては、所得税と住民税の両方に認められてます。
- 同一年に優遇措置A・Bの両方を利用することは可能ですが、同一銘柄に関してはダメです。
売却時点で受けられる優遇措置
売却時点で受けられる優遇措置は売却損失が発生した場合です。
株式の譲渡益と損益通算できるだけでなく、翌年以降に3年間繰越すこともできます。なお、ベンチャー企業が上場しないまま破産、解散等をして株式の価値がなくなった場合にも、同様に翌年以降3年間にわたって損失を繰越すことができます。
ポイント!
未上場株式は通常、上場株式等の譲渡所得等と損益通算と損失の繰越控除が認められていませんが、例外的に認められています。なお、未上場の一般株式等についても損益通算可能です。
(注)売却時点の株式の取得価額は、投資した年に優遇措置を受けた場合には、その控除対象金額を取得価額から差し引いて売却損失を計算します。
確定申告の手続きに必要な書類
投資時点のエンジェル税制の適用を受けるには、確定申告書に必要事項を記載した下記書類を添付しなければなりません。
- 特定新規中小会社が発行した株式の取得に要した金額の寄附金控除額の計算明細書 → 国税庁HPからダウンロード
- 特定(新規)中小会社が発行した株式の取得に要した金額の控除の明細書 → 国税庁HPからダウンロード
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下記の書類は投資会社より送られてくるため添付するだけです。
- 都道府県知事等が発行した特定新規中小会社に該当するものであること等の一定の事実の確認書
- 特定新規中小会社が発行した個人投資家が一定の同族株主等に該当しない旨の確認書
- 特定新規中小会社から交付を受けた株式異動状況明細書
- 投資契約書の写し
※ 優遇措置Bを適用する場合は株式等の譲渡益から控除するため下記も必要です。
- 株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書
優遇措置 A と B どっちが得? 節税なの?
例えば年収840万円の会社員の人が年間30万円を投資してエンジェル税制の適用を受けた場合(なお、株式の譲渡益は上場株式等にかかるものとして計算)
A の場合 約60,000円 所得税が減少
B の場合 約45,000円 所得税が減少
では、年収480万円の会社員の人が年間30万円を投資してエンジェル税制の適用を受けた場合(なお、株式の譲渡益は上場株式等にかかるものとして計算)
A の場合 約28,600円 所得税が減少
B の場合 約45,000円 所得税が減少
つまり、優遇措置 A は所得控除となるため所得税率が高い人ほど節税効果があります。一方、優遇措置 B は譲渡益から控除のため一律15%となります。しかも優遇措置 B は譲渡益が無い場合は節税効果がないため計画的に適用する必要があります。
どちらか迷ったら自分が該当する所得税率で判断しましょう。
最後に、投資した会社が新規株式公開(IPO)などで株式をうまく売却できた場合はどうでしょう?この場合は、取得時の株式の取得価額から優遇措置の適用を受けた金額が控除されるため、譲渡益が大きくなりその分、税金が増加します。
つまり、
優遇措置 A を受けている場合は、売却時に課税されるのが約20%の税率となるため、それ以上のメリットを受けているのであれば節税といえると思います。
優遇措置 B を受けている場合は、あくまで課税の繰延べでしかないため節税効果はありません。
でも一番の魅力は、いつか IPOで投資金額を大幅に上回る譲渡益を夢見ることですね!